五年が俺を思いきらせた。結果的に書類が消えて俺の五年はなくなった。それがなければどうなってたかって?考えたくねえけど、きっと相変わらずだったぜ、だれもバラさないんだし。俺が言わない限りあいつは知らなかったと思うよ。あいつ鈍いから。

「好きだぜ!」
「うるせえやめろつってんだよ」
「つれないねえ!いいじゃん受け取っとけって!」

こういうやり取りができるのも、五年のおかげだ、たぶん。あと、あいつがいいやつだからだ。好きだからじゃないぞ?・・・いや好きだからかもしれないが、あいつはいいやつで、優しいんだ。あと頭もいい。背丈だってちょうどいいし顔も好みだ。そうだな、あと声がたまんねえの、わかるだろ?本当、バカみたいに、好みのやつが現れたってわけ。

・・・うん。ああ、そうだな・・・。それは考えたくねえかな。好きになったのがあいつでよかったよ。言った時は、はっきり拒絶されたし、覚悟してたけどかなり傷ついたねあれは。俺何年もあいつの傍にいたしさ、もしかしたら一番近くにいたかもしれないから、あいつのこと多少は知ってたんだよ。それでも言ったんだよ。十分覚悟できてたと・・・ああ、それもらう。まあ、そのあと、あいつ車に戻ってきたしさ、なんだかんだまた一緒にいられるからいいんだけど。うわこれ美味いな。え?あいつ?あー、俺を受け入れようというか、なんていうか、もどかしいんだけどさ、あいつ。今はだいぶ慣れてきてるよ。はは、俺もアピールするし?仲間も前から知ってたからさあ。でも未だに見られてる気がする。いや、あるだろ?告白されたら今まで気になってなかった人が気になってきた、ってやつ。あれって実際効果あるよな、あいつとか特にそう。たぶん誘われたら簡単に落ちるんじゃねえの?俺には落ちねえくせによ、美女みたらやばいんだぜあいつ。俺は美女じゃねえけど!・・・ただ俺はな、そうだったとしても、諦める気なんてないんだよ。やっとチャンスが来たと思ってるからさ。

それは早いんじゃねえの、まあ、考えたことはあるけどな。いつか…いつかそうなればいい。好きになってくれればいいんだその…今以上に。今でも十分かもしれないけど、そういうんじゃないんだよな。…あわよくば!?あー…。そりゃあ…まあ考えたことは…。こんぐらいで勘弁してくれない?からかうのと本気は違うだろ?

それじゃそろそろ帰るよ。ありがとうな、美味かったぜ。

 

 

了(終われ)