我が愛しの

「はっ…へへ…入った」
ファラデーが得意そうな顔をしている。少し歪んでいるし、汗をかいているが。…堪らなくそそる顔、俺の好きな顔。
「何、お前動かねえの…っくそ急にっ!」
「うっせえ…馬は大人しく跨られとけ…ってんだよ…」
「この野郎…」
こいつは俺の上で腰振って悦んでる。そういう時のこいつのなんとも言えない顔が好きだ。見下してるのに嬉しそうで、愉しそうで俺が…自惚れかもしれないが、多分俺のこと好きなんだろうなって顔だ。今すぐ動きてえって気持ちもあるにはある。俺はこいつの顔がぐしゃぐしゃなのも好きだからだ。でもそれはこいつが疲れてからにする。
ファラデーの腰が止まって、上体を倒してきた。俺の瞳を緑が埋める。この色が好きだ。
「おい…お前何考えてるんだよ」
「お前の顔のこと」
「はあ…?…俺がかっこいいって?」
「最高だぜ。お前に見せてやろうか?」
「嫌だね!…アッ!!!」
勢いをつけて跨り直したせいでこいつからあられもない声が挙がって少し笑っちまった。
「おら、動けよ」
「黙れ」
声に余裕が無い。しかもさっきまでより俺の腰にかかる重さが増している気がする。
「お前、腰抜かしちまったのか?」
「…そんな訳ねえだろ」
「はは、お前本当」
「あっちょっと何、ああああっ」
動いてやったら俺の方に倒れ込んできた。これだと正直かなり重い。ついでに俺の耳元でいいだの気持ちいいだの盛大に喘いで煩い。こいつの体はめちゃくちゃ熱い。この熱さは堪らねえが、すぐ俺がバテる。
「おい、1回起き上がってくれねえか」
「…無理」
「俺この体勢ずっとやるのは無理だぞ」
「ちょっと….ちょっと待ってろって…」
一旦俺のを抜いて、なんとかファラデーが起き上がって仰向けに転がった。顔が真っ赤で汗ばんでて、目が少し潤んで虚ろで、でも俺の方見てるのはわかった。綺麗だと思う。ぜえぜえ言いながら悪態をついてくる。….これが惚れた弱みだろうか。悪態つかれてるのに幸せな気持ちになってくる。
「このクソ野郎…せっかくいい感じだったのに…」
「しょうがねえだろ…体力考えろ」
「バカ」
「馬鹿じゃねえ、お前の顔も見えねえんじゃ無理だろ」
「…なんなのお前趣味悪いんじゃねえの」
「今に始まった話じゃねえだろ」
「趣味悪いメヒコちゃんのせいで俺眠くなっちゃったから寝るわ」
「おう寝とけよ」
「…ふん」

と言ってもこいつは寝れた試しがない。俺は本当に寝ちまってもいいと思ってる。こいつにつられて俺が本当に寝たこともあった。だが、こいつが自分を寝かせないし、ついでに俺も寝られないでいる。