苦いものは好きじゃない

やってしまった…。目の前でブラントがなんとも言えない表情をして僕を見ている。目には涙が浮かんでいた。そんな目で見ないでくれ。罪悪感で潰れそうだ。僕だって戸惑ってるんだ…。
彼がベッドから出て、洗面所へ向かう。その背中をぼんやり見つめていた。

最初はよくわからなかった。いつもと違うな、くらいしか思わなかった。次の瞬間猛烈な吐き気に襲われて、僕の目は潤んだ。
僕はいつものようにしていただけだった。イーサンのものを口に含んで、舐めて、吸って…。反応はいつもより少し良かったから、僕も調子に乗って彼を責めた。
一回目はいつも口で受け止める。そして飲み下す。彼は僕に悪いから出したくないと言うけど、これは僕の趣味だからやっている。満たされるし、支配した感じがする。
今日もそのつもりだった。でもそうはならなかった。
「ウィルっ…口、離してくれ…」
「いや」
「頼む、頼むから…ぁ……」
構わず続けた。彼はいつもそう言うから。
「はっ……ん、やっ…でるっ」
彼のものが僕の口の中で脈打つ。この瞬間が堪らない…。次の瞬間、
「ーーーーーーーー!!!???」
僕は声にならない声を出した。
口いっぱいに広がる、いつもの生臭さとは違う…アンモニア臭…?
そして気づいた、彼が出したのは尿だということに………。

ブラントが洗面所から戻ってきた。苦い顔をしている。
「苦い…喉もおかしくなった…」
「…ごめん」
今の僕に言えるのはこれくらいだった。
「苦いものは好きじゃないのに」
「本当にごめんなさい…」
高まった気持ちは萎んでしまっていた。重い雰囲気に辛くなってきた。すると、猛省する僕がおかしくなったのか、彼が吹き出した。
「気にすることはない…君はちゃんと警告したし」
「ウィル…」
抱きつこうと近づいたのだが。
「新作ドーナツで手をうってやろう」
そう言ってブラントは僕から離れた。
有無を言わせない声の響きに、僕はただ頷くことしかできなかった。