菓子作りは2人でやってろ - 1/3

僕の恋人は滅多に素直になってくれないんだ。だから聞いてみたんだ。僕のこと好きかい?って。叱られたね。聞いた場所が悪かったかな?職場で聞いたから…。結構そういうところ厳しいんだ。公認の仲なのにね。ああ、答えは結局その時はもらえなかったよ。でね、家に帰ってからもう一回聞いてみたんだ。そうしたらしばらく悩んだ後に「嫌いじゃない」って答えが返ってきたんだ。嫌いじゃないって!素直じゃないのはわかってるんだけど、ちょっと不安になってね。怒らせちゃってたし。で、それじゃわかんないって詰め寄っちゃったんだよね。失敗だったな。「君は僕のことが信用できないのか?」って完璧に怒っちゃって口きいてくれなくてね。

…ああ、いくら相談と言ってもこれには辟易する。何これ?俺砂糖の大量摂取してるの?大甘だよ。
俺はさっきからイーサンの相談にのっているんだけど…。ねえこれ惚気にしか聞こえないの、俺だけ?イーサン鈍すぎじゃない?
流石に「イーサン鈍すぎじゃない?」という言葉は飲み込んだわけだけど。超真剣な顔で相談してきてるんだし。だから、「心配ないと思うよ、ブラントのことだし、嫌われてたらほんとに喋らないから」っていう当たり障りのない答えを返しておいた。だってここで、イーサンの知らなさそうなブラントの様子言っちゃったら、俺がじっとりした目で見られることになる。嫌だよ、俺そんなの。
ありがたいことにイーサンはこの後用事があったみたいで、あんまり話は長引かなかった。よかった。砂糖地獄から抜け出せた。
イーサンに対してブラントが「嫌いじゃない」って言った話を思い返すと、ブラントらしいなって思う。顔合わせる機会が多いせいか、ブラントの感情の動きがなんとなくわかってきた。感情を口にもしないし、表情も変わらないけどな。ちょっと勿体ないよな。不機嫌だと思われるのかあまり人も近づかないようだし?あ、でも笑った瞬間に居合わせた奴は男女関係なくブラントに落ちる。ギャップってやつ?イーサンとは違う天然たらしだな~。
ただ、いくら天然たらしでも、恋人にも外と同じ対応っていうのはまずいかな?二人っきりだったんだろうし尚更。イーサンだって俺に何とかしろって言ってるわけじゃない。けど、気になる。