胸焼け

もぐもぐもぐもぐ
もぐもぐもぐもぐ
もぐもぐもぐもぐ
もぐもぐもぐもぐ

忙しなく動く口。

「なぁ…ブラント、食べ過ぎじゃない?」
「ん…ごく、そんなことはない」
「もう何個目か数えられないよ」
「まだまだ食べれる…」
もぐもぐごくごく…。
ここはブラント分析官お気に入りのドーナツ屋。堅物の分析官はかなりの甘党。大量のドーナツと、生クリームがたっぷりのったアイスココアを頼んでた。甘いもので甘いものを流し込む分析官…。ギャップとか通り越して怖い。ただただ怖い。あ、あと胸焼けするよ、かなり。
あー…こんなことになるなら俺が買ってくるんだった……。イーサンの『いつもと違うブラントが見られるよ』っていう言葉に乗っけられるんじゃなかった…。いや、確かにドーナツ屋でしっかりドーナツ食べてるブラントは可愛い…、可愛かったけどさ?限度があるよね、限度。流石に俺、我慢できない。帰りたい…。うん?冗談冗談…。『外の空気を吸おう!』って連れ出したの俺だしね、付き合うよ。
それにしても、よくイーサンはこんなことにずっと付き合えるよなー。気持ち悪いくらい満面の笑みを浮かべて。まあ、そんだけ好きってこと?溺愛かな?ストーカー化してるし。

「…ベンジー、おい、どうした?」
「えっ?…ああ、ちょっと考え事してた」
「そっか。注文は?」
「えーっと、注文は…え?注文!?お前まだ食べる気なの!?」
「当たり前だ、えっと、これとこれ…あと…ココアを…」
ダメだ。なんかブラントの声が耳に入らない。もうやだ。帰りたい。イーサン恨んでやる。これで胸焼けしないのは君くらいだ。

もぐもぐもぐもぐ
もぐもぐもぐもぐ
もぐもぐもぐもぐ
もぐもぐもぐもぐ

忙しなく動く口……。