疲れていたから

「ただいま」
俺は家にいつもより遅くに帰った。疲れていた。
今日は仕事は忙しかったが、職場の近所のコンビニの店員が可愛かったな…と取り留めもなく考えていた。ファラデーに店員の話をしてやろうと楽しみにする程度には可愛かったし、実際。
玄関に一番近い部屋がファラデーの自室だ。いつもは閉めてある扉が開いてるしそういえば『おかえり』の声もない。ついでに廊下にまでファラデーの服がはみ出していた。明らかにおかしい、でも俺は疲れていたからファラデーの部屋にずかずか入った。普通その…色々と疑うべきじゃないか?この状況。
「グエロ?」
「うわっ、おかえりメヒコ」
ファラデーはひどく焦っていた。なんだか知らないがシーツを被っている。まだ寝るには少し早い時間だ。
「お前寝るのか?早いな」
「あーいや寝るっていうんじゃないんだけど」
「じゃあなんだ」
少し悩んだ後、「実はさー」と言いつつファラデーはシーツを落とした。俺の目には、肌蹴たシャツと長いスカートが飛び込んできて、俺もうだいぶきてるな今度休み取ろうと決意する程だった。
「お前なんでそんな格好を」
「罰ゲームだよ」
「なんつう罰ゲームだよ…」
「まあそれはいいじゃん。あのさ、シャツをやっちまってさ」
「弁償もんなのか?」
「エマは怖い。つうことでボタンが2個ほど飛んじまって探してるんだけど、ねえのよ。メヒコ知らない?」
「知らねえよ」
なんの罰ゲームなのかはぐらかされたのが気になった。でも俺は疲れていたから別のことを考えていた。胸元がそそるとか、床探してる時の尻のラインがいいとかそういうことばかり考えていた。
俺はボタン探しを手伝いつつファラデーの胸と尻を見ることにした。そういえばスカートがおかしい。どうして少し白っぽいんだ?デザイン?と思いつつそこをつまみあげようとした。『なんだこれー』とか言って茶化す用に。それは叶わなかったが。今思うと馬鹿だ、つまんだのは悲しいかなファラデーの太股だった。
「わっ!何急に触ってんだよ」
「いやそんなつもりじゃ」なかった。ちょっと捲ってやろうかとは思ってたけど。
「気をつけてくれよ、俺そんな場合じゃないから」
「わかった」

俺は全然わかってなかったしわかるつもりもなかった。何しろ俺は疲れていたから頭の中は胸元、尻、白い太股のみになっていた。